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教育現場で教科指導をする際に求められる指導法や技術を理解し、身につけるための授業。あいさつ、板書、評価、宿題、補助教材、教具の活用など、実践についての講義を受講した後、実際に受講生全員が教壇に立ち、模擬授業を行います。

武蔵野学院大学では、中学・高校の英語科と高校の情報科の教員免許を取得することができます。この『教育方法・技術』は、教員免許取得を目指している学生が指導技術を学ぶための講義で、英語科の免許取得を目指している学生と、情報科の免許取得を目指している学生、さらには外国人に日本語を教える「日本語教員」を目指している学生も一緒に講義を受けます。基本は青木雅幸先生がさまざまな指導方法について講義するスタイルだが、この日はその集大成として、学生たちによる模擬授業が行われました。

最初に教壇に立ったのは、将来は母国で日本語教員になりたいという中国人留学生。日本語の「授受表現」についての模擬授業です。ちなみに、この「授受表現」とは、物を受け取ったり、与えたりするときの表現。日本語を母国語とする人なら無意識のうちに使い分けているが、授受を表す動詞は、「話し手」「主語」「授け手と受け手の上下関係」の3要素により、下記のように分類されます。
あげる、さしあげる、やる
もらう、いただく
くれる、くださる
「あげる」「もらう」「くれる」は同等の相手に、「さしあげる」「いただく」「くださる」は目上の人に、「やる」は目下の人や動植物に使います。教師役の学生は、それぞれを簡単に説明した後、「今日は『あげる』『もらう』『くれる』を中心に勉強します」と話し、授業を進めました。
教師役の学生は、いちごのイラストが描かれた紙を使い、受け手をAさん、授け手をBさんとすると、Bさんの立場では「私はAさんにいちごをあげました」、Aさんの立場では「私はBさんからいちごをもらいました」となることを説明し、生徒役の学生にもやりとりをさせました。その後、「くれる」についても同様な説明とロールプレイを行い、20分の授業が終了しました。

模擬授業終了後、指導する青木先生は「評価シートを書くとともに、今回の授業でよかった点やこうしたほうがいいのではないかというアドバイスを聞かせてください」と学生たちに語りかけます。評価シートとは、「目線」「声の大きさ」「話す速度」「言葉遣い」「姿勢」の5項目を4段階で評価するもので、よかった点やアドバイスとあわせて記入して、教師役の学生に渡されます。
今回の授業でよかった点としては、「プリントという小道具を使った授業は学生たちも興味を持つと思うし、よいと思う」「学生とのコミュニケーションをとる姿勢が感じられて、先生の距離が近く感じられた」「授業のテンポがよかった」など、そしてアドバイスとしては、板書の書き方や声の大きさを改善した方がよいといった意見が出ました。そして最後に、青木先生が「小道具の使用など、全体的には非常によかった。アドバイスとしては、説明が多いので、生徒に実際に問題を解かせる部分を増やしてもいいと思う」との講評を述べ、1人目の模擬授業が終了しました。

次に行われたのは、日本語の文型についての模擬授業。今回も、日本語教員を目指す中国人留学生による授業です。旅行での会話がテーマで、「私は京都へ行きます」「私はタクシーでうちへ帰ります」「私は家族と日本へ来ました」といった例文をもとに、「へ」「で」「と」といった助詞の働きについての授業を展開していきました。こうした助詞の使い分けは外国人にとっては特に難しいものですが、教師役の学生は、「みんなで一緒に読んでみましょう」「では、○○さん、読んでください」などと声をかけ、生徒参加型の講義を行いました。

今回も模擬授業の後は評価タイム。生徒役の学生たちからは、「大きい声で授業していたので、後ろに座っていてもよく聞こえた」「生徒とのコミュニケーションがきちんととれていた」「ずっと笑顔で授業していたのがよかった」「黒板が大きいので、もっと全体を使ったほうがいいと思う」など、よかった点やアドバイスが発表されました。
その後、青木先生より「語学の授業では、音読という行為は非常に重要です。ですから、今回のように生徒に読ませるのは、ぜひ習慣づけてください。あと、生徒がきちんとできたときに褒めていたのもよいですね。悪い部分を批判するだけでは傷つきますし、やる気もなくなってしまいますから、褒めて伸ばすのはとても大事なことです。あとは先生が生徒のそばまで近寄って指導する机間指導を加えてもといいと思います」とアドバイスを送り、この日の講義は終了しました。

「教育というのは、次世代の国民を育てる営みです。ですから、教える側に立つ者は、自分たちが次の世代の国民を育てるのだという意識をもつことが重要。そしてそのためにも、学生たちには広い視野とバランスの取れた人間性を養ってもらいたいのです。大げさに思われるかもしれませんが、教育は世界平和につながるものだと私は思っているんですよ」と青木先生は授業後に語ってくれました。
そう、この講義で学ぶ学生たちは、未来の世界平和の担い手。ここで教育者としての技術と精神を身につけた学生たちが卒業し、教壇に立つ日が楽しみです。